平屋住宅とデザイン

平屋住宅は一定の広さのある敷地に建てられることが多く、離れて見られるので外観のデザインが重要となります。注文住宅ではさまざまな種類のデザインが可能で、思い切ったデザインを試みるのも一つの方法です。

平屋住宅を新築する場合は、外観のデザインには二通りの方法があります。勾配のある屋根を付けて、屋根のデザインを強調する方法と、屋根を陸屋根とし、壁と柱、梁によりデザインする方法です。日本の建築は歴史的に屋根を中心としたデザインがされてきました。緩やかな勾配の屋根と、長い庇の出が建物の外観を特徴付けるのが、日本の建築です。注文住宅で用いる屋根の形状は3種類で、切妻、寄棟、入母屋の型があります。シンプルに見せるには切妻が良く、寄棟は突風に強く、耐久性に優れます、入母屋は数奇屋風建築によく似合います。建物を平面的にずらすことで屋根に変化を持たせることも可能です。日本の建築で最も美しいとされる、京都の桂離宮は、平屋を雁行に並べた平面を持ち、屋根はシンプルな切妻です。一見単純な構成により、みごとな建築美を見せています。屋根は単体でもきれいに見せることが可能ですが、複数の屋根の組み合わせや、勾配のつけ方で、際立った外観にすることが可能です。

平屋住宅においては、屋根に勾配を付けずに、壁により外観をデザインする方法もあります。単純に平面的な壁ではデザインに変化が無く、つまらないものになってしまいます。壁によるデザインでは、独立柱や梁の見せ方、窓のとり方により外壁に変化をもたせ、モダンなデザインとすることが可能です。屋根は勾配を付けなくても庇で出すことは可能です。柱は独立柱として列柱にしたり、梁を外部に見せる方法もあります。窓は隅部に設けるとデザイン上のアクセントとなり、効果的です。平屋住宅では、床のレベルを上げるのも一つの方法です。屋根勾配をつけない場合は床を地面から浮かせることで、軽快なデザインが可能となります。床はコンクリートの片持ち梁としてせり出せば、立体的な見え方をします。

平屋住宅では、屋根急勾配として、ヨーロッパスタイルやアメリカンスタイルなど、海外のスタイルを真似る方法もあります。2階建ての場合、屋根勾配を急にすると北側隣家に日が当らなくなったり、法規上の問題が出る場合がありますが、平屋ではその心配をしなくて済みます。思い切った海外のデザインを気兼ねなく取り入れられるのも、平屋住宅の良いところです。